ダイナミカルな反応場をつかってセラミックスの結晶構造を自在に制御する

研究紹介

◆この研究のキーワード
#セラミックス #マテリアルプロセッシング #特異反応場 #マイクロ波 #酸化チタン #可視光応答性光触媒


研究の概要

 物質の化学状態転移によって高速かつダイナミックに変化するマイクロ波応答性を利用し、「たった数秒間」で金属粒子から任意の構造を持つ酸化物を分子レベルで制御することを試みています。

 X線や紫外線などと同じ光の仲間であるマイクロ波は、赤外線よりは長くラジオ波よりは短い波長をもつ電磁波です。電子レンジでもおなじみですが、オーブンで加熱する場合とは違ってモノによって温まり方が異なる※1のが大きな特徴です。逆に言えば、特定の状態をもつ物質のみを選択的に加熱することが可能です。

※1「オーブン加熱」と「マイクロ波加熱」、いったい何が違うの?
オーブン(電気炉)による加熱方式では、発熱体から放射された熱(赤外線)が炉内を対流し、物質へ伝達されることで初めて加熱されます。一方で、マイクロ波加熱ではXXX。

 金属およびセラミックスは、それぞれマイクロ波の磁場成分および電場成分に対して高い応答性を示す※2ことがわかっています。金属からセラミックスへ化学状態が遷移した際に生じるマイクロ波応答性の著しい変化をうまく活用することにより、瞬時に1000℃以上に熱して・冷やす、という「加熱の高速スイッチング」を物質が自発的に行うことが可能にならないか?というのが本研究における新規アイデアです。

※2 物質ごとのマイクロ波応答性の違いについて
逆に、金属は電場を反射するためまったく加熱されず、多くのセラミックス(非磁性)はマイクロ波磁場に対して応答性が著しく低下します。

 実際には、酸化雰囲気下で非磁性金属粒子にマイクロ波磁場を印加することにより※3、高速かつダイナミックに変化する特異反応場を実現させています。酸化物の化学構造は合成時の雰囲気を調整することにより自在に制御可能で、紫外-可視(近赤外)領域における高い光吸収特性を示すことから、可視光応答性光触媒※4のような高機能材料として応用できることが明らかになりました。

※3 シングルモードマイクロ波照射技術
シングルモードマイクロ波照射装置と呼ばれる特殊な装置を用いて、共振器内に定在波を発生させることで磁場成分と電場成分を分離して物質に印加しています。
※4 光触媒って??
光触媒は光を吸収することにより通常の触媒プロセスでは進行困難な化学反応を常温で引き起こすことができる環境浄化材料として注目されており、無毒で高い熱的安定性及び光触媒活性を有することから酸化チタン(以下TiO2)が現在広く用いられています。近年では、太陽エネルギーを有効に利用するために可視光下でも機能を発揮する「可視光応答性光触媒」の研究開発が盛んに行われています。

研究成果

  • Kunihiko Kato, Yunzi Xin, Hong Jeongsoo, Ken-ichi Katsumata, Takashi Shirai, Synthesis of core/shell Ti/TiOx photocatalyst via single-mode magnetic microwave assisted direct oxidation of TiH2, Advanced Powder Technology 31, 1777-1783 (2020).
Synthesis of core/shell Ti/TiOx photocatalyst via single-mode magnetic microwave assisted direct oxidation of TiH2
Submicron core/shell Ti/TiOx photocatalyst is successfully synthesized via single-mode magnetic microwave (SMMW) assisted direct oxidation of planetar…
  • Kunihiko Kato, Yunzi Xin, Takashi Shirai, Rigorous Design of Outermost Surface of TiO2 via One-Step Single-Mode Magnetic Microwave Field towards Highly Efficient Visible Light Photocatalyst, Journal of Material Science 55, 1692-1701 (2020). (Open access!)
Rigorous design of outermost surface of TiO2 via one-step single-mode magnetic microwave field toward highly efficient visible-light photocatalyst
Among numerous efforts toward preparation of visible-light TiO2, recently design and control for chemical structure of TiO2 outermost surface have been paid str...
  • Kunihiko Kato, Yunzi Xin, Takashi Shirai, Structural-Controlled Synthesis of Highly Efficient Visible Light TiO2 Photocatalyst via One-Step Single-Mode Microwave Assisted Reaction, Scientific Reports 9, 4900 (2019). (Open access!)
Structural-Controlled Synthesis of Highly Efficient Visible Light TiO2 Photocatalyst via One-Step Single-Mode Microwave Assisted Reaction
TiO2 with different chemical structures are successfully synthesized via a one-step single-mode magnetic microwave (SMMW) assisted process, during where Ti sele...
  • Kunihiko Kato, Sebastien Vaucher, Patrik Hoffmann, Yunzi Xin, Takashi Shirai, A novel single-mode microwave assisted synthesis of metal oxide as visible-light photocatalyst, Materials Letters 235, 125-128 (2019).
A novel single-mode microwave assisted synthesis of metal oxide as visible-light photocatalyst
Visible-light photocatalyst titanium dioxide (TiO2) was successfully prepared via a novel and facile single-mode microwave assisted synthesis process.…


関連記事・研究リンク

1.名古屋工業大学 プレスリリース:「マイクロ波特異反応場を利用することにより原子レベルで表面制御された可視光応答性酸化チタン光触媒の開発に成功 (2019.03)」

https://www.nitech.ac.jp/news/press/2018/7348.html

2.OPTRONICSオンライン:「名工大,可視光応答性光触媒を簡便に作製」(当研究紹介記事)

名工大,可視光応答性光触媒を簡便に作製
名古屋工業大学は,原子レベルでよく表面制御された「可視光応答性酸化チタン(TiO2)光触媒」のワンステップかつ短時間合成手法の開発に成功した(ニュースリリース)。 光触媒は,光を吸収することにより通常

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