【イリノイ大】原子レベルでランダム配合した合金化合物がもつ優れた機能性の謎に迫る

140文字サイエンス
キーワード

#高エントロピー合金 #高耐久性 #触媒

最先端を知る。

イリノイ大、5種類の元素が“原子レベル”でランダム配合した合金化合物が「一般的な単金属や合金に比べ、なぜ優れた特性(高い熱安定性など)をもつのか?」のなぞに迫る。特殊電子顕微鏡を用いた高温酸化・相分離現象のリアルタイム観測と理論計算により明らかに。高耐久性触媒設計などへの応用が期待。

論文ハイライト

・5つの元素からなる高エントロピー合金(HEA; ※1)(Fe-Co-Ni-Cu-Pt) ナノ粒子の高温酸化による相分離現象について、特殊電子顕微鏡を用いたリアルタイム観測と理論計算により検討。

・HEAナノ粒子中で起こる酸化現象は、通常知られている単金属や二合金ナノ粒子の酸化メカニズムとは大きく異なり、非常に遅い原子拡散を示すことで知られるカーケンドール効果(※2)によって支配されていることが明らかに。

・原子レベルでランダムに配合されていた元素が高温酸化条件下でカーケンドール効果により粒子表面へ移動していく過程で、偏析(相分離)と同時に不規則な原子配列をもつ酸化物が形成しやすくなる。この酸化物層がさらなる酸化を妨げるバリアとして機能することから、優れた熱的安定性・耐久性が達成されている可能性が示された。

・本研究は、高温酸化環境における高エントロピー合金の挙動を理解するために非常に重要な発見であると同時に、高温耐性材料、高耐久性触媒、および耐食性合金をはじめとする様々な応用領域の材料設計に役立つものである。

実際に科学の世界をのぞいてみよう!

イリノイ大学シカゴ校 機械・生産工学科 Reza Shahbazian-Yassar教授率いる研究チームの成果で、ACS Nano誌に掲載。(2020/10/20)

・Reza教授主催の研究室WEBサイト

https://nanoeng.uic.edu/

・原著論文に挑戦!!

https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsnano.0c05250

用語解説

※1:高エントロピー合金(High-Entropy Alloy: HEA)

原子レベルでランダムに配合された5つ以上の主要元素を含む新しいタイプの合金化合物。高い機械的強度、高い熱安定性、優れた腐食抵抗など、従来の合金と比較して優れた特性を備えていることから、この20年間で急速に発展してきた材料。本研究では、5種類の金属元素(Fe-Co-Ni-Cu-Pt)から構成された

※2:カーケンドール効果

2つの物質(成分)間における原子の相互拡散は、それぞれが持つ原子の位置を直接交換することによって、原子が移動したときにぽっかりと空いた隙間(原子空孔などの点欠陥)を媒介として起こる「空孔拡散」が支配している。

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