【超電導社会】 室温駆動の超伝導体がついに実現!これからどうなる?!

物理

ニューヨーク ロチェスター大学の研究者グループが ”室温で動作する” 世界初の超伝導体を発見

重金属を使うことなく、単純な元素で構成された分子固体を非常に高い圧力で圧縮することにより合成

エネルギーロスがまったくない 革新的な発・送電システムを担う “超電導社会” にまた一歩近づく

 


~この記事のキーワード

室温超伝導体, 超高圧, 水素化合物, エネルギー, 環境, 材料開発, 物理,

世界初、室温超伝導体の発見



100年以上実現できなかった 世界で最初の 室温超伝導体 が、
ニューヨーク ロチェスター大学の物理学者ランガ・ディーアスらの研究グループにより報告されました。

超伝導体は電気抵抗がゼロとなる特性から、一切のエネルギーロスなく電気エネルギーを伝達することができます。これまでに発見されていた超伝導体は低温まで冷やす必要があり、ほとんどの用途には実用的ではありませんでした。

単純な分子固体を水素雰囲気中かつ非常に高い圧力で圧縮することにより、室温(約15℃)で超伝導性材料をつくることに世界で初めて成功しました。

研究成果は、2020年10月14日に公開のNature誌に掲載されています。

RETRACTED ARTICLE: Room-temperature superconductivity in a carbonaceous sulfur hydride - Nature
Room-temperature superconductivity is observed in a photochemically synthesized ternary carbonaceous sulfur hydride system at 15 °C and 267 GPa.


この発見は、電子機器と輸送を再形成する可能性のある未来のテクノロジーの飛躍的発展につながることが期待されています。

超伝導体っていったい何者??


超伝導とは、ある物質を非常に低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象です。

1911年に最初に発見された超伝導は、材料に以下の2つの重要な特性を与えることが判明しました。

① 電気抵抗がゼロになる

② 外部からの磁力線が遮断される(マイスナー効果

②は、磁場のなかに超伝導体をおいた際に、超伝導体が中の磁場を外に押し出そうとする現象です。このため超伝導体に磁石を近づけると、反発して離れようとします。

ペン太くん
ペン太くん

うーん、よくわからないけど、何かボクたちの役に立つの?? 

しろくま先生<br><br>
しろくま先生

リニアモーターカーはこの特性を利用して車体を浮かせることで、
摩擦のない高速移動を実現するというコンセプトがもとになっているんだよ。

ペン太くん
ペン太くん

なんだかすごそうだね! 

しろくま先生
しろくま先生

いまJRが作ろうとしているリニア中央新幹線(2027年開業予定)は、最大時速 500km を目指してるみたいだね。これまでの新幹線は 名古屋 から 品川(東京)に行くために1時間半はかかっていたけど、1/3くらいまで時間を短縮できるんだ。

ペン太くん
ペン太くん

それはすごい!ボクもはやく乗ってみたいな。

しろくま先生
しろくま先生

ただ、超伝導状態を維持するにはとても低い温度に冷やす必要があって、たくさんのお金がかかるんだ・・・
今住んでいる北極より200℃以上も冷たい温度なんだよ。


この問題を克服するため、多くの研究者たちによって、より室温に近い温度で動作する超伝導物質の探索が続けられています。

実現できればどんな未来が待っている??

室温かつ大気圧で安定な超伝導材料の電線が実現できれば、従来の電線よりもエネルギーロスが少なく、より大きな電流を流せるので、高効率で大規模な発電・送電設備などの実現が可能になります。
さらには、MRI装置から量子コンピューター、リニアモーターカーまで、テクノロジーを大幅に向上できると期待されています。

現在デバイスに使用されている超電導材料には、安価で入手しやすい液体窒素を用いてマイナス195℃まで冷やせば十分に機能するものが開発されています。(それでもかなり低い温度ですね)

以前までのような高価な液体ヘリウムを用いた冷却方法(-269℃)に比べて改善されてはいますが、依然として極低温に保つためのコストは非常に高いため、超電導材料の良さを十分に活用することができていないのが現状です。

超伝導体の「パラダイムシフト」

高温超伝導体を作るには、より強い結合と軽い元素が必要です。

水素は最も軽く、強い化学結合を持つことから、超伝導体の有力な候補として考えられてきました。

金属水素を固体化すると金属のような振る舞いを示すようになり、室温超伝導に必要な特性が発現することが理論的に知られています。
ただし、純粋な水素を固体化(金属状態)にするためだけに非常に高い圧力が必要でした。

研究者チームは、上下2つのダイヤモンドの先端に炭素、水素、硫黄からなる混合物を挟み、
地球の大気の約260万倍の圧力(地球内部の圧力と同等!!)をかけながら、レーザー光で材料を刺激して化学反応を誘発することにより、約15℃以下の温度で超伝導現象が起きることを確認しました。


これまで報告されていた最新の超伝導体はランタンやイットリウムなどを含む重金属系の水素化物がメインでしたが、この手法では低コストかつ地球に豊富な元素(炭素と硫黄)を用いた重金属フリーな水素化物であることから、「より環境に優しい」将来の材料の可能性を示しています。

今回、材料の正確な組成やその原子がどのように配置されているかを判断することができなかったため、どのように超伝導現象が生じているのか?、そのメカニズムを解明することが今後の課題となりそうです。

さらに筆者らは、この元素の組み合わせのさらなる「組成チューニング」が、さらに高い温度で超伝導を達成するための鍵となる可能性があると結論付けています。

ペン太くん
ペン太くん

ところで”パラダイムシフト”ってなあに? 

しろくま先生<br><br><br>
しろくま先生


その時代や分野において当たり前のことだと考えられていた認識や価値観などが一気にくつがえされるような劇的な変化のことを言うよ。

ペン太くん<br><br><br>
ペン太くん


つまり、ボクたちの生活がもっと便利になるってことだね!! 

まとめ

大気圧で安定な室温超電導材料の開発が実現すれば、

生活がめちゃめちゃ便利になる!


番外編

超伝導体を研究しているグループ

別の記事で、「超伝導体」に関する研究を行っている国内外のグループを紹介しています!

興味を持った人はぜひチェックしてみてくださいね!!

↓↓↓ 詳しい記事はこちら ↓↓↓


役立つ資料

準備中・・・



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